1級建築士が選ぶ旧耐震マンションの3つのポイント
今月26日、政府の地震調査委員会は、東北地方の太平洋沖で起こる地震の長期予測を発表しました。
東日本大震災級(M9クラス)が起こる可能性はほぼ0だが、M7超クラスの地震は発生確率が高まったと。
簡単に言うと大地震が起きる可能性が高いということですね。
私は半年前に引っ越したので、家族で非常時の避難場所などを確認しました。
今回は不安になる地震の情報があったので 、中古マンションの耐震性、特に旧耐震について書きたいと思います。
昨年、旧耐震の中古マンションを購入しました。マンション購入の検討をしている人が私の知り合いで数人いるので、いつも話す内容を。検討している方はご参考にしていただければと思います。
ただ、私自身の考えが多く含まれているので、その点はご了承を。
筆者のざっくりしたプロフィール
建築学科を卒業後、大手建設業の会社に就職して今年で12年目
一級建築士として約8年間、戸建住宅、集合住宅などの設計を担当(内1年間は現場監督を経験)
その他の資格として、2018年に、FP3級・FP2級・宅地建物取引士の試験に合格
私がマンション購入する際に最も重要視した点は、立地と購入金額でした。
その点を重要視していたため多くは旧耐震のマンションが候補になりました。
(そもそもマンションよりできれば戸建て住宅がいいと思っていますが、東京都内ではなかなか難しいものです。)
もちろん耐震性も重要ですので、旧耐震基準なのか新耐震基準なのかは気にして探しました。
旧耐震と新耐震とは
1981年6月に建築基準法が改正されたときに耐震強度の最低基準が引き上げられ、その境をもって「旧耐震基準」と「新耐震基準」と区別されるようになりました。
旧耐震でも十分購入を検討できる
旧耐震のマンションというとよくないイメージがありますが、すべての旧耐震マンションが構造に問題があり、購入は避けるべき、ということはないと思います。
旧耐震でも構造のしっかりしたマンションはありますし、立地やコスト面で有利なことが多いので、立地やコストが大切と考えるのであれば検討すべきです。
もちろん構造上よくないマンションもありますので、注意が必要です。
心配であれば耐震診断をすることもできますが、マンションは管理組合を通すことや資金面などで難しいです。
誰でも確認できる3つの耐震ポイント
そこで、これだけは確認・検討したほうがよいというのが、マンション全体の建物形状です。
マンション全体の形状を見るのならば建築の専門家でなくても簡単だと思いますし、現地に行っても、Googleマップなどでも確認できますよね。
私が、旧耐震のマンションの物件を探すポイントとして考えていたことは以下の3つです。
①4階建て以下のマンション
4階建て程度の低層マンションは壁式構造で設計されていることが多く、建物重心が低くなるため揺れに対して有利です。
②建物形状がシンプル
建物形状のバランスが悪いマンションは、一部が局所的に崩壊してしまう可能性が高いので、シンプルな箱型のマンションをおすすめします。(複雑な建物はエキスパンションジョイントを設けて対策している物件もあります。)
③コンクリートが剥き出しではない
旧耐震で設計されている年代のコンクリートは、現在の品質より悪い場合がありますので、タイル張り仕上げなどで雨風に直接コンクリートがさらされないようになっていることや、しっかりメンテナンスされていることが望ましいです。
バランスの悪い形状とは
- L型やコの字型
- 細長い形状
- ピロティ形式(1階が駐車場や店舗になってる)
以上のマンション形状は少し注意が必要です。
国土交通省のマンション耐震化マニュアルに詳しく記載されています。
http://www.mlit.go.jp/common/001086801.pdf
私が購入したマンションの形状
私が構造的に問題ないと判断して購入した旧耐震のマンションは
3階建ての鉄筋コンクリート造で、建物中心に階段コアがあり、平面形状は正方形に近く、断面的に上階から1階にかけて広がるやや台形の形をしたマンションです。
揺れに対して安定的な形状と判断できました。
そして内覧時に、建物に大きなひび割れなどがないかをチェックさせていただき、購入を決めました。
また、その地域の地盤の強さも検討しましたので、その内容はまた後日書きたいと思います。
マンション購入はいろいろなことを総合的に判断する必要がありますよね。
旧耐震のマンションですとローン控除や税金関係でのデメリットがありますし。
ですが、旧耐震でも十分検討する価値がある物件も多いので、なかなかいい条件のマンションがないと困っているようであれば視野を広げてみてもよいと思います。
建物形状をみることで、比較的簡単に耐震性を判断できる要素のひとつとなりますので参考にしていただければと思います。